何やら映画「戦場のメリークリスマス」の公開から30年ということで、ハイレゾ音源が配信されてますね。そうか、もうあれから30年も経つのか・・・
坂本龍一というと今の若い人にとっては「ピアノを弾く白髪のおじいさん」という感じでしょうかね。癒しの曲を書く人、みたいなイメージかも。でも僕らくらいの世代だと「インテリテクノ野郎」みたいなイメージでしょうか(違うか)。ピアノというよりシンセサイザーの感じですよね。
ということでキュレーションサイトにも上がっていたけど、僕なりの教授の音楽ベスト10、行ってみたいと思います。
ベスト10というかよく聴く10曲、という感じです。 ファンではありますが、何せ30年前から聴いてますから、古い曲が必然的に多くなってますがご容赦を。御山さんあたりは分かってくれるはずだ。
1. マ・メール・ロワ(1984)
いきなりマイナーな曲ですが、「音楽図鑑」というアルバムのボーナストラック。レコードではEPみたいなので付いてきた記憶が。 フェアライトとおぼしきゴリゴリしたサンプリング音にピアノが絡む何とも言えない緊張感のあるアレンジに、ひばり児童合唱団のエスニックな音階が乗るという対比が凄い。
エスニックなんだけどどことも言えない風景が見える。確か当時これを使ったCMが流れてた気がする。
↓の5分27秒あたり
2. Steppin’ into Asia(1985)
「音楽図鑑」が出たあとのシングル。使われているラップはタイ語で、当時の教授のラジオ番組のリスナーが歌っている。特に目立ってエスニックな音階は使われてないし、メインのリフも3度重ねなのになぜか妙にエスニックで、一時こればっかり聴いてたときがあった。
ちなみにこの変てこなベースは細野晴臣氏によるもの。サビのボーカルは矢野顕子。サビ前にバックで鳴っているシングルトーンの白玉のシンセの音とフレーズの熱帯感がいい。
そういや出た当時、この写真が盤面になっている「ピクチャーディスク」というものだった。どこまで自分好きやねん。
3. Bamboo Houses(1982)
正確にはDavid Sylvianとの共作。両A面のシングルで、僕は12インチ盤を持っている。Sylvianは昔から仲が良かったようで、これ以降も共作がけっこうあるけど、最初に出た共作シングルとしてはこれが最初では?
恐らくSylvianが作ったシンセのリフみたいなのを教授がアレンジして「こんな感じ?」「おー、えーやん」(なぜか関西弁)という感じで仕上がったものだと推測する。微妙にデチューンされたガムランみたいなシンセの絡みと、最後に出てくるSylvianのボーカルとその後の笛みたいなシンセリードがとにかく秀逸。
4. Japan(1983)
「戦場のメリークリスマス」のサウンドトラックのピアノバージョン「CODA」に収録。なんとなく戦メリのサントラ時のアウトテイクという気がする。これもシンセで演奏されている笛の使い方が秀逸で、僕がシンセ笛を使うときのフレーズの節回しなどはかなりこの影響がある(と思う)。
※サンプルなし
5. Tibetan Dance(1984)
「音楽図鑑」の1曲目。非常に分かりやすいエスニック・フュージョンだけど、音の質感が独特で非常になまめかしくて好き。ということでライブバージョンはイマイチ。ドラムが高橋幸宏、ベースが細野晴臣なので、要はYMOなのだがスタジオミュージシャン的に使うとこうなるという例でもある。
余談としては当時同じスタジオで山下達郎がレコーディングしていた関係上、間奏のカッティングギターは山下達郎が弾いていたりする(実はこの二人、仲良しなんだよね)。
6. Seoul Music(1981)
これはYMO時代の曲。「テクノデリック」に入っているもので、日本語タイトルは「京城音楽」。教授の韓国旅行が元になっているらしく、当時の軍事政権下のソウルの様子がナレーションで入っている。
「フクチキフクチキ」って声のサンプリングで入っているパーカッションが病的で怖い。ダークなサビのメロディと歌詞がすごく好き。an example of life〜♩
7. A flower is not a flower(1998?)
オリジナルアルバムには収録されておらず、制作年は不明。僕が聴いたのは「/05」というピアノアルバム。とても美しい曲で、ピアノ曲としてはダントツに好き。
8. Happy End(1981)
YMOの「BGM」にも入っているが、もともとは「フロントライン」というシングルのB面。そう思うと「BGM」の頃の教授って全然やる気なしだな^^
「/05」というアルバムでピアノアレンジされて、そのバージョンが非常に良い。ライブでも非常に目立つ曲。何かに似てるといつも思うんだけど、何かが思い出せない。
9. Merry christmas Mr.Lawrence(1983)
やはりこれは外せない。全く余談だが僕が唯一ピアノで弾ける曲^^ でもこれはピアノよりも原曲のシンセアレンジがやっぱり秀逸。独特のアンビエントがあって、実際の映画でも底知れない奥行きを与えていたと思う。
弦以外はほぼシンセだが、確かサビのメロディがグラスのサンプリング音だったっけかな。艶かしいんだよね。
10. 水の中のバガテル (1984)
元々はサントリーのCMで使われていた曲。かすかに覚えていたのだが、これも最近ピアノでよく弾かれるようになって、 タイトルとともに再認識した。とても切ない美メロ。
メロディだけ取り出すとそんなに複雑なメロディではないと思うけど、 やっぱり和声の付け方かな。その辺がさすが芸大出身だなと思ったりする。
そんなわけで当時のCMバージョン。コピーは仲畑貴志。
ということで見事に80年代ですが、教授ファンがよく選ぶ「トンプー」とか「千のナイフ」ってあまり好きじゃない。なんだかぎこちなくて,スムースさがないというか。色っぽくないんだよね。そういう意味で個人的には「音楽図鑑」のあたりが最も円熟したというか、僕の思う教授らしさがある。
音楽図鑑完璧盤 | |
坂本龍一
ミディ 1993-09-20 by G-Tools |
それでは茶茶を何曲か。
「Steppin’~」のYou Tubeはアナログ音源ですな。懐かしい。Wikipediaにも記載があるけど、CD収録されているこの曲はドラムの音が差し替えられたヴァージョンがほとんどです。
手元にCDが無いので演奏者クレジットがうろ覚えなんだけど、「Tibetan~」のアルバム1曲目の方は山下達郎では無かったような気が。初回限定盤のボーナストラックとして、同曲の別ヴァージョンが収録されていて、そちらの中間部はクレジット不要な達郎カッティングになってます。
「YMOで最も好きな1曲は?」と訊かれると、ものすごく悩むんですけど、京城音楽は非常に有力な候補。ってくらいに好きな曲。
「A Flower~」のオリジナルは、二胡奏者のケニー・ウェンのアルバムに教授が書き下ろしたもので、Wikipediaによると1997年だそうです。
「Happy End」は発売はBGMの方が先でした。原曲のコードバッキングが音程のとりづらい音色だったので、/05を聴いてこの曲の和音の美しさを再認識しましたね。ちなみに私はYMOのウィンターライヴのヴァージョンが大好き。
ああ、私も10曲選んでやろうかと思ったけど、もう睡魔に勝てません。おやすみなさい。
なるほど。補完どうもです。