アメリカ版方丈記/【映画】Into the Wild

イントゥ・ザ・ワイルド [DVD]

ショーン・ペンという人は「マドンナと結婚していたやんちゃな俳優」というイメージだったのですが、近年、渋くなりましたよね。出演作で見たのは「デッドマンウォーキング」とか「ミスティックリバー」とか「ミルク」とか、どれもよかった。監督作を見たのは初めてですが、なんとも言えない「残る」作品です。クリント・イーストウッドの作品に近いというか「まんじりともしない」感じが似ている。

ジョン・クラカワーという人の「荒野へ」という原作の映画化で、簡単に言うと、お金持ちで頭のいい、大学を卒業したばかりのアメリカの青年がなぜか急に家族の元を離れ、ひたすら北に向かい、最後アラスカで餓死する、という話。

時代がちょうど90年代初頭、そしてこの主人公、クリス・マッカンドレスが僕と同い年ということもあって、なんとなく親近感を持って見ました。まあハード目なロードムービーかと。
でもちょっと違いました。ロードムービーにありがちな、現地の人との交流とかそういうのはたくさん出てくるんだけど、主人公が全くそこに関心を示していない。ひたすらニコニコと「アラスカに行く」としか言わない。戻ってくるのか戻ってこないのかも分からない、でもはっきりした殉教心があるわけでもなさそう。でも確固たる信念はありそう、みたいな感じ。

これがこの原作なり映画の最大の論点だと思うのですが、どういう思いでアラスカに分け入ったのか。やたらと現地の動植物に詳しい割に、いつ川が増水するかも知らない、その割には地図を作ろうとしてるけど、装備は無頓着。ワイルドとか言う割にはバスの中で暮らしてる。暮らしたいのか死にたいのか良く分からんわけです。

おそらく、そういう二者択一的な意識はなくて、とりあえず人のいない荒野でひとりで暮らしてみることで「何が得られるか」を知りたかった、という本当にそれだけなんじゃないかという気がします。
両親が不仲であり、トルストイやソローの本を愛読する文学青年でもあったわけで、それこそ20代の青年の青年にありがちな無垢な自分探しとでも言うべきか。

あるいは世代的にそうだったのかな。90年代前半にはネオヒッピーイズムみたいなのがあったとも言うし、そういうムーブメントに影響されてないとも言えないでしょう。今の時代ではない、ある種の軽さ。今の時代の学生ならまずこんなことしないんじゃないかな。

というわけでいわゆる放浪モノとか冒険モノとか殉教モノとか、そういう従来的なカテゴリーに収まりにくい作品。あえていうなら「スローライフ孤独モノ」とでも言うべきか。あるいはアメリカ版「方丈記」か^^(これはちょっと違うな)
ハッピーエンドでもないし、そんなにバッドエンドでもないし、年代にもよるだろうけどまあなんとなくある種の教訓を得られるという意味合いにおいては面白いんじゃないかと思いました。

僕が共感するのは、クリス君の考えていたことが、結局彼しか分からなかった、ということかもしれない。

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