
映画がすごく良かったので原作を読んでみた、というパターンです。著者はディーリアオーエンズ。
映画は自然描写が非常に美しいのだが、原作のほうがもっと瑞々しいというか、精緻。こういうのはやはり言葉には勝てないだろうなと思う。特にカモメが出てくるシーンが印象に残った。空に飛んでるイメージじゃなくて、沼地に降りてきて羽をバッサバッサやってるイメージが目に浮かぶ。
カイアは打ち寄せる波の音に負けないよう、
声を張り上げて鳥たちを呼んだ。
海は低音を奏で、カモメはソプラノで歌っていた。
高く、鋭く鳴きながら湿地や砂浜の上を
旋回している彼らのため、
浜辺にパイ皮やロールパンの欠片を放った。
脚を垂らし、小首をかしげてカモメたちが降りてきた。
物語自体は沼地に生きる少女の孤独と自然との共生を描くものだけど、それと微妙に交錯するひとつのミステリー(殺人事件)が交互に描かれていて、物語に緊張感とスピード感を出すことに成功している。まあ沼地の女子の生活だけ描かれてもね・・・という感じだろうか。
このミステリー部分もなかなか面白いのだけど、ラストが「えーそれで決着すんの?」って感じで、ちょっと犯行としては無理があると思ったw 作者はもともと動物生態学者らしく、やはりそういう部分に完璧さを求めるのは酷ということだろう。
しかしなんと作者のオーエンズ氏、なんとこの70歳にしてこの作品が小説としては初刊行だそうである。文体が若々しいのでもっと若い女性かと思っていたのでびっくり。
しかし映画と同じで非常に読後感の清々しい作品なので、未読の方はぜひ。

あと、映画のディスクは持っていないけど、何故かサントラだけ買ったという。エンディングに流れるテイラースイフトの曲が良きです。
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