やはりよくわからない武満徹

右上の小澤征爾氏といっしょに写っている作品がたぶん最も有名な「November Steps」

音楽は最近は武満徹ばっかり聴いてますが、何枚か聴いての感想はひとことで言える。「全然分からん」。もしくは「全部一緒」。

という理解力のなさですがw、ほんとにそうなんだからしょうがない。November Stepsが凄いと言われても全然ピンとこない。

思うにですね、この人は音楽をつくろうとしてつくっているのではないんじゃないか、ということ。なんというか無意識を意識化させようとしているというか、いわばシュールリアリストの音楽版みたいな、そういうよくわからないポジションで音楽をつくってきた人ではないかということです。

なのでいくら完成した音楽で切ったところで氏の実像は出てこないような気がするんです。あるいは作ろうとした「きっかけ」「言葉」みたいなのが重要というか、氏の音楽を紐解く鍵になりそうな気がする。

かつて武満氏も所属し、詩人の瀧口修造氏が主宰した「実験工房」というグループがありましたが、(当時の)前衛芸術の中で語られるべき人なんだろうなと思います。音楽というよりも概念で作っている感覚というのかな。

でもシュールリアリスムというのはものづくりをするうえで、現代においてはもはやスタンダードな考え方だと思うので、がんばってブルトンなども読んでみようと思います。

私は作曲という仕事を、無から有を形づくるというよりは、むしろ、既に世界に偏在する歌や声にならない囁きを聴き出す行為ではないかと考えている。

(集英社 「武満徹の世界」より)

 


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