Becomingの重要性

becoming。カッコいいタイトルだ

意外だと言われるけど、実は僕は高校時代、ハードロックをよく聴いていた。

まだCDもなかったころで、レコードからダビングしたテープを学校から帰ってヘッドフォンで爆音で聴いていたのを思い出す。

レッドツェッペリンもそのうちのひとつで、よく聴いたのは4かな。当然のごとく「Stairway to Heaven」の入っているヤツである。ツェッペリンでよく覚えているのは「爆音で聴いても妙に気持ちいい」ところだった。なので聴いているうちに眠くなることがたびたびあって、すごく不思議なのだけど、これはひとえにヴォーカルのロバートプラントの声が「呪術的」な感じだからだと思っている。

てなことでマニア限定で絶大な評価らしい、「レッドツェッペリン:ビカミング」に行ってきた。例によってIMAXで、どうやら最終日だったらしい。今回の作品はかなりレアな映像で構成されているらしく、ツェッペリン初期の映像としてはほぼ完璧だそうである。

僕が観に行ったのはそういうこととは関係なく、ツェッペリンは爆音で聴かねば、ということと、おそらくリマスタリングされてるだろうから何やってたかを細部まで見られるだろう、という興味からである。

そのカンはあたっていて、特に低音が凄まじく良かった。元々ギタリストのジミーペイジがさほど上手いわけでもないので(失礼)、ドラムのジョンボーナム、ベースのジョンポールジョーンズのプレイを注意深く聴いた。

思ったのはジョンポールジョーンズのベースプレイが非常に上手いことである。フレーズ的には目立たないけど、歌やドラムを引き立たせる計算されたラインを弾いている。

ジョンのドラムはかなり特徴的だけど(意味もなくキックが3連になる瞬間がよくある)、それにあいまって例の「呪詛」的なロバートのボーカルが乗るともう唯一無比。becomingとは「成る」という意味だが、バンドというのはうまくいくと本当に化学反応が起きるんだなということを再認識した。

ビートルズでも同じようなことを思ったりするけど、ツェッペリンの場合はこの4人じゃないとダメだったような気がする。ビートルズの場合、やっぱりジョンとポールが傑出してたから、僕としてはビートルズにbecomingという感触はない。

しかし今回の作品はなぜか途中で終わる。ちょうどアルバムの2枚目あたりなのでまだ初期。ジョンボーナムだってまだ存命だ。てことは続編を作る気だな・・・と思ったけど、うがった見方をすればこういう映画作品が出てきた背景というのはやはり昨今、音楽が音楽市場の上で売れなくなってきた、ということの象徴ではないだろうか。もっとはっきり言うとこうでもしないと聴いてくれないわけだ。

古参ファンはとっくに60を超えている。金はあるが、家で爆音で聴くこともできない・・・そういうマーケットを狙ったものなんだろう。まあこれも時代なんだろうな。


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