「ギリギリSF感」の復権/【映画】Starwars「フォースの覚醒」

Star Warsさん(@starwars)が投稿した写真

あえて言おう。
我々の世代にとって、スターウォーズというのは映画と言うより人生に寄り添ってきたひとつのカルチャーである。

これは間違いなく歴史がそうさせている。スターウォーズ以外に40年間近く上映されているメジャーな映画があるだろうか? なので必然的にその深度というのは共有できないことが多い。深い人はすさまじく深いし、知らない人はどこまでも知らない。そこにはマリアナ海溝よりも深いキャズムが存在する。いずれにしても軽く「あれよかったよね」みたいな感じでシェアできるようなものではない、と思う。

最初に公開されたのは1978年。当時小学生の僕は映画を見るなんて行為自体、未知の世界なので見た友人が教えてくれた。「川本くん、すごい映画だよ。とにかくすごいんだ」と、半ば興奮気味に話してくれたことをよく覚えている。小学生がそんな反応をしていたわけだから、世の大人たちはさぞ驚いたことだろう(有名な話だが、当時デビューしたYMOの初期の楽曲「ライディーン」のコンセプトのひとつにもなっている)。
 

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それがエピソード4。当時はそんな番号は付いておらず、「New Hope」なんて副題もなく、それがとてつもなく長い話の一部であることも知らなかった。中学生のころにテレビ放送か何かで初めて見て、確かに面白かったのだけど劇中に登場するおじいさん(オビワン)が一体誰なのか、何やら悪役(ダースベイダー)と関係があるっぽいが、それらが一切分からないまま映画が終わっているので「???」となったのも事実だ。恐らくみんな思っていたんじゃないだろうか。

その後続編が2作作られ、ひとまず終了したわけだが、さらにダースベイダーが主人公の父だったことや、主人公とお姫様が兄妹だったなど、新たな事実が判明するとともに、監督であるジョージルーカスが「実はこの作品は9部作で、今回描いたのはその真ん中の話」とカミングアウトするなど、ますます「???」となった。

それでもエピソード4~6というのはSFアドベンチャーとして非常によくできており、レンタルビデオ店ではいつも貸し出し中だったし(セルビデオもあったと思うけどとても高額だった)、テレビでもよく放送されていた。やはりその頃に影響を受けた青少年が僕くらいの世代だったんだろうなと推測する。
 

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ところが90年代の半ばくらいだったか、いきなり監督は「続編を制作する」と発表する。なんでも元々は作る気満々だったらしいが、描きたいことがその頃の制作技術では描ききれないのでためらっていたらしい。その契機になったのがスピルバーグの映画「ジュラシックパーク」のCG技術であったことは有名な話。

それで作られたのがエピソード1。つまり9部作のド頭。これが続編というより話がさかのぼった新3部作のスタートで、確か公開は2000年の初め頃。4~6とは全く異なる世界観、ファンタジックなクリーチャー、つるつるしたCG満開の映像にみんな戸惑った。でも今まで謎だったオビワン、アナキンといったキャラが登場し、ずっと謎だった部分が解決していくということで、僕はとてもわくわくした。公開当時旅行したパリでキャラクターのフィギュアをたくさん買ったのを思い出す。

そして子どもの頃に見たエピソード4にきれいにつながるエピソード3が公開されたのが2005年。この間27年。10代で見た作品の続きを30代で見る、というのはよく考えるとちょっとすごい。そしてこれで9部作のうち6部が埋まる。話も完結し、謎だった部分も解決したのでまさしく「これで終わり」という感じだった。実際、監督の手でさらに作品が作られることはなかった。「ああ、もう(スターウォーズは)終わったんだ」という感じがとても切なかった。
 

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そしてしばらくして監督がスターウォーズの全権利を売却するという衝撃のニュースが発表される。しかも売り先はディズニー。これもまたみんな戸惑った。ネットにはジェダイのかっこうをしたミッキーマウスのイラストが出回った。でもこれでようやく監督がやめる決心をしたことがよく分かったし、もう終わったのだからあとは好きにしたらいいんじゃないだろうかと僕は思った。今まで十分楽しませてもらったのだから、あとは若い世代をまた楽しませてやってくれ、と。

そして今回のエピソード7の制作が発表されたのがその後すぐ、確か2013年くらいだったかと思う。エピソード6の30年後の話を描くという、かつてエピソード1が公開された時と真逆の、実質的な続編だ。ルーカス抜きで?ディズニーで?終わった話をどうすんの?みたいに思ったけど、よく考えたら元は9部作。ただ、ルーカスがいない後の3部作なわけで、いったいどうするんだろうと。僕は脚本は元々存在していて、それを使うんだろうなと思っていた。

そして矢継ぎ早に監督やキャストが発表される。JJエイブラムスという(僕は)全く知らなかった若い監督、キャストは旧3部作からの俳優陣と、新たにキャスティングされた全く知らない若い俳優たち。内容はまだまだ秘密だったが、オリジナルキャストが出演することは決まっていたので、いろんな妄想がネットを駆けめぐる。エピソード6のラストから、やっぱりソロとレイアの子どもの話なんじゃないか、というのが有力な噂だった(それはある意味当たっていたが)。
 

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そしてこれでもかと発売されるコラボ商品。「なんだこれは。まるでディズニー映画じゃないか!」と思ったが本当にディズニー映画だったわけである。エピソード3の、あの救いようのないダークネスと絶望を直近で見ている僕には俄かに信じられなかった。ちなみに大のスターウォーズファンである友人の奥さんは(僕の知っている限り、ご自宅には等身大のR2-D2のフィギュアがある)公開までそんな商品や、予告編やネットの情報も見なかったらしい。もの凄く大変だったと言っていた。

そして予定通り2015年12月18日、ほんの10年前までは誰もが予想していなかったエピソード7が公開されることとなる。新章になるとはいえ、これだけ分厚い歴史のあるスターウォーズを、特にトラブルらしいトラブルもなく(少なくともスムーズに見えた)撮りきったJJエイブラムスは本当にすごいと思う。よっぽど頭がいいのか、ものすごく強靱なメンタルの持ち主なのか、全くもって不思議な男である。
 

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そんなわけで前振りはこのへんにして、今回のエピソード7の感想を述べる(当然ものすごくネタバレなので未見の方はこの先ご注意)。

ちなみに視聴回数は4回。TOHOシネマズ2D字幕×1、シネプレックス4DX吹き替え×1、IMAX3D字幕×2。IMAXは新しくできたエキスポシティ。映像・音響はダントツで凄まじかった。

ところが1回目を見終えた後、僕が思ったのは意外にも「つまらない」だった。とにかくキャラクターの存在や定義付けが安直に感じられて、肩すかしをくらった感じ。そんなハズはないと、パンフレットを隅から隅まで読み、ネットの情報も参考にストーリーやキャラ設定を完全に理解して2回目。するとなぜだか、、、もう抜群に良くなっている。なぜだなぜだ? なるほど、これは理解度を試されていると思った。やはり一筋縄ではいかないんだと察した。レビューについては賛否両論だそうだけど、恐らく否定的な意見の人は理解度が浅いのではないかと思う。逆に言うとそれくらい練りこまれているということだと思った。

ひとつは新章となるための「新しさ」の創出と、30年前の作品から橋渡しするための「古さ」のバランス。これは監督も随分頭を使ったことだろう。ルーカスのサジェスチョンが全くない(と思う)以上、今あるマテリアルからどう発展させるか(あるいはどうリセットするか)を考えるしかない。エイブラムスが選んだのは過去のパーツをものすごく美味しいところでエッセンスとして使うのみとし、メインとしては持ってこない、というやり方だった。これが上手かった。
 

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メインとなるキャラクターも星も完全に新しいのに、押さえるべきところで古いモチーフが登場する。しかも例えようもなくカッコよく(こういうのを昭和的にはしびれるっていうんだっけ?)。惜しむらくは敵の星を破壊するというメインストーリーがあり、その秘密をドロイドが握っている、という設定をトレースしているので、これは完全に新しいものにしても良かったと思う。

キャラクターの設定はあんなものだろう。女性をメインキャラに持ってきたのは時代なんだろうし、フィンは余計とも思えるが、物語のバランスをとる上ではアリかもしれない。面白かったのはかつての帝国軍に近い「ファーストオーダー」がまだ組織として完成されてはおらず(の割にはすごい兵器を開発していたが)、ダースベイダーのリプレイスとなる「カイロレン」が非常に中途半端な「悪」だったこと。あれじゃまるで中二病こじらせたヤンキーだよw でもそれが今までない危なっかしい感じで面白い。かつての悪は本当に「極悪」だったから。

ソロがあっけなく死んだのは恐らく想像だけど、ハリソンフォードが「もうスターウォーズに出るのはこれっきりだよ」って監督に進言したんじゃないかなと。それで急遽そういうシナリオになったんじゃないだろうか。ただ、何かにも書いてあったけど、エピソード6があんなにハッピーエンドで、旧キャラクターはみんな仲良く暮らしてるのかなと思ったら全然逆で、なおかつソロが死んでしまって、もうレイア、ルーク、ソロ、チューバッカが昔のように集合するシーンが実現不可能になったのが悲しい。
 

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何より僕が一番感動したのは「質感」。エピソード1〜3のつるつるした感じから、4〜6よりのリアルな空気感に戻ったのはすごく良かったと思う。もちろんロケ撮影・プロップ(模型)作りを重視した結果だとは思うけど、すでにそういうものと違和感無く溶け込むようになったデジタル技術の進化も凄まじい。スタッフでさえ、本当に撮影したのかCGなのか分からないときがあったらしい。

ジョージルーカスの元々のこの作品に対するスタンスは「SFなのにリアルであること、本当にありそうだと思えること」であり、今回の新監督はそのコンセプトをしっかりと守っている。クリエイターが想像でき、それを見る側が理解できて共感できる、ギリギリのSF感とでも言えばいいのかな。このラインの設定は素晴らしいと思った。ぜひこのコンセプトは次作にも引き継いでもらいたい。

というところがざっくり僕が思ったこと。今度出るブルーレイ版に付いているであろう、エイブラムスコメント入りのBehind the sceneなどを楽しみにしつつ、このへんで。

May be the force be with you.
 
 

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