今つくっているもの

Open sky今は何をしているかというと次のアルバムの準備です。

実を言うと、この間出した「Life to Come」を作ってからハタと思ったんです。「あれ、俺、これから何作ったらいいんだっけ?」と。でもよくスポーツ選手が言うように「全力を出し切りました。悔いはありません」みたいなことは全然なくて、普通に淡々とやったつもりなんですけど、急に作るべきものが見えなくなった。

今までそういうのってなかったから余計に焦ってしまって。ちょうど精神的にも参ってた時だったので、本当にしんどかった。曲が書けないっていうのはねえ、ちょっと凄い感覚でした。書けないというより書くものがない、という方が正しい。で、もう毎日映画見たり本読んだりしてて、音楽から遠ざかってました。

前にも書いたことあるんだけど、僕の場合は音楽というより「音楽を通して見えるビジョン」がないとだめなのです。絵ですね。その絵が描けるかどうか。で、思ったのは今回はガムランじゃないなと。というかそういうエスニックなものじゃない。もっと日常だなって思ったのです。

日常という意味では元々、住んでいる京都をテーマに何か作ろうと思っていました。実際に商業的にはそういうオーダーも多かったし、何か需要があるんだろうなと。でも実際京都の音楽、というのを自分なりにやってみると、凄く暗くなっちゃうんです。京都はやはりダークネスな部分が魅力だと思うから。それはそれで突き詰めると面白いんだろうけど、今の自分の気分じゃない。20代くらいならやってたと思うけど、何だか今の気分にそぐわない。要は暗い曲を書きたくないんですよね。ずーっと暗い曲ばかり書いてた僕が言うのもなんですけど。

なるほど、じゃあ日常ってなんだ?って考え始めると、これがけっこう難しい。それであんまり考えるのはやめにして、前作が「Life to Come」っていう「来世」っていうのが設定した世界だったから、じゃあその逆をやればいいのかなと。で、出てきたテーマが「この世」なのです^^

つまりできるだけ具体的な音を使って、日々慣れ親しんだ音階で、日々の生活を描いてみようと。という回り回って実にシンプルなイメージになったというわけ。なので音としては単純。複雑な和音も変な音階もない。周りにあるもの、そこから感じるストレートな世界。今日過ごした時間が明日もあるような世界。寝る前に今日もそんなにすごくいい日じゃなかったけど、そんなに悪い日でもなかったな、って思える世界。

というコンセプトで曲を書いてたりしています。道は遠いな・・・